土を掘る手が8本増えた。 顔を上げれば、そこには彼女の仲間達がいた。 皆彼に弄くられて、彼女と同じように使われてきたヒト達。 皆はそれぞれの手で、ゆっくりと土を掘り返した。
また手が増えた。 それは彼女達の住処を守ってきた少女と この星を守ってきた少女の手。 二人とも静かに、優しく土を掘り返した。
人一人入る穴ができた。 皆で掘ったせいか、少し大きめの穴だったけれど。 その穴へ、彼をゆっくりと横たわらせる。
地球の少女が一人、彼の横たわる穴に駆け寄る。 手には色とりどりの花。 少女はその花を、彼の隣にそっと添える。
少女に続くように、今度は男性が、両手一杯の花を墓穴に添えた。 その次には老婆が、さらにその次には少年が。 気付けば、皆が花を手に、彼の眠る墓穴へと 集まってきていた。
少し大きめに掘られた穴は、花で埋め尽くされていった。 その後、花の上から土をかぶせてしまったけれど その土の上に、さらに沢山の花が添えられた。
花に包まれた墓。 宇宙にいた少女の一人が、その前に立ち、手を合わせ、 祈りをささげた。 それを見た少女の仲間が、同じように祈りをささげる。 いつの間にか、宇宙にいた人達皆が、地球の人も皆 彼に向かって祈りをささげていた。 それは今まで、自分達を守ってきた彼への礼か 望んだ大地ですぐさま朽ち果てた、彼への同情か それとも、また別の何かか。 皆はそれぞれの想いをこめて 彼のために祈りをささげた。
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